声をこわさせない指導の基本

やり方ケン監修: 上野目 泰之3

声を守る指導の基本は「無理をさせない・サインに気づく・休ませる」の3つ。資格がなくても学べて、教える場面でそのまま役に立ちます。

結論:声をこわさせない指導とは「無理をさせない・気づく・休ませる」の3つです

声は、とてもデリケートです。だから、指導でいちばん大切なのは「うまくする」より先に、「こわさせない」ことです。守りながら伸ばす。これが土台になります。

最初にお伝えしておきます。ボイストレーナーに、国の資格はありません。でも、声を守る知識は、だれでも学べます。学べば、できるようになります。この記事で、その基本を見ていきましょう。

なぜ「こわさせない」が先なのか

声は、のどにある小さなひだ(声帯)がふるえて生まれます。このひだは、強くこすれると、はれてしまいます。

つまり、声は「使いすぎ」や「むりな出し方」で、つかれます。一度こわすと、もとに戻るのに時間がかかります。

だから、上達よりも先に「守る」のです。守れる人は、長く歌い続けられます。これが、いちばんの近道です。

こわさせない指導の3つの基本

1. 無理をさせない

大きな声や高い声を、いきなり出させないでください。声は、少しずつ広げていくものです。

  • どならせない
  • のどに力を入れさせない
  • 「もっと!」とあおらない

楽に出せる音から始める。これだけで、声はずっと守られます。

2. サインに気づく

声がつかれてくると、体は教えてくれます。次のサインを覚えておきましょう。

  • 声がかすれる
  • のどがいたい、つまる感じがする
  • 高い音が急に出にくくなる

サインが出たら、すぐに止めます。「あと少し」は禁物です。

3. 休ませる

声は、休むと回復します。練習のあいだに、休む時間を入れてください。水を飲むのも、よい休みになります。

がんばらせるより、休ませる勇気のほうが、ずっと大切です。

健康のことで迷ったら

ここで、はっきりお伝えします。声がかれる原因の見立てや、病気の判断は、指導者の仕事ではありません。

生徒さんに、いたみや強い不調があるとき。声がずっと戻らないとき。そういうときは、無理に続けさせないでください。痛みや強い不調があれば、専門機関へ相談をすすめましょう。

これは、生徒さんを守る大切な対応です。

教えるときに役立つこと

声を守る知識は、教える場面でそのまま役に立ちます。

たとえば、生徒さんが高い声でのどを締めたとき。「力を抜こう」と声をかけられます。なぜ抜くのかも、しくみで説明できます。

  • なぜ無理をしてはいけないか、理由を言える
  • つかれのサインに、先に気づける
  • 「今日はここまで」と、安心して止められる

守り方を知っている指導者は、生徒さんに信頼されます。「この人になら任せられる」と感じてもらえるからです。

歌がとびきりうまくなくても、ここは教えられます。守る知識は、自分の歌の実力とは別だからです。だから、声の仕事を目指す人にとって、「教える道」はちゃんと開かれています。

まず、自分に合う学び方を確かめましょう

声を守る学びは、独りで悩む必要はありません。つまずいたとき、相談できる相手がいると、進みが大きく変わります。

「自分にも教えられるかな」と感じたら。いまの自分に合う道を、まずは適性診断で確かめてみてください。

よくある質問

声をこわさないために、まず何に気をつければいいですか?
無理をさせないことです。大きな声や高い声を、いきなり出させないでください。楽に出せる音から少しずつ広げると、声は守られます。
生徒さんののどが痛いと言ったら、どうすればいいですか?
練習を無理に続けさせないでください。痛みや強い不調が続くときは、専門機関への相談をすすめましょう。原因の見立てや病気の判断は、指導者の仕事ではありません。
歌がうまくなくても、声を守る指導はできますか?
できます。声を守る知識は、自分の歌の実力とは別のものです。しくみを学べば、だれでも身につけられます。

参考にした一次情報

  • MUSEION 声楽用語事典(発声生理・声帯ケアの章)