結論:世界の歌は楽しい。でも土台は同じ発声です
世界にはたくさんの歌があります。歌い方も、国や地域でちがいます。ふれてみると、声の世界がぐっと広がります。
でも、ひとつ大切なことがあります。どの歌でも、土台は同じです。息の支えと、のどを締めない発声。ここは変わりません。
「民族唱法」ってなに?
民族唱法とは、その土地で生まれ育った歌い方のことです。地域のくらしや言葉と、深く結びついています。
たとえば、こんな声があります。
- ヨーデル — アルプスの地方の歌い方です。低い声と高い声を、すばやく行き来します。
- ベルカント — イタリアで育った歌い方です。なめらかに、声を遠くまで運びます。
- 日本の民謡 — 「こぶし」と呼ばれる、声のゆれが特ちょうです。
どれも、その土地の自然や言葉から生まれました。
まず「聞く」ことから始めよう
世界の歌は、いきなり真似しなくて大丈夫です。まずは、たくさん聞くことから始めます。
耳が音に慣れると、ちがいに気づきやすくなります。「この声は、どこから響いているのかな」。そう考えながら聞くと、学びが深まります。
聞く力は、教える人にも役立ちます。生徒さんの声を聞き分ける力に、つながるからです。
版権切れの楽曲から始めると安心
世界の歌にふれるなら、版権切れの曲がおすすめです。版権切れとは、作った人が亡くなって長い年月がたち、自由に使えるようになった曲のことです。
楽譜を無料で手に入れやすく、練習に使いやすいです。たとえば、こんな曲があります。
- 野ばら(シューベルト) — ドイツの有名な歌曲です。短くて、最初の一曲に向いています。
- アヴェ・マリア(シューベルト) — なめらかに声をのばす練習になります。
- 夕焼小焼(草川信) — 日本の童謡です。やさしい言葉で歌えます。
国がちがっても、息の使い方は同じです。曲を通して、土台を育てられます。
体に痛みを感じたら、無理をしない
慣れない歌い方を試すと、のどに力が入ることがあります。少しでも痛みや、強い不調を感じたら、すぐに休みましょう。
そのうえで、痛みや強い不調が続くときは、専門の医療機関へ相談してください。歌は、声をこわさずに楽しむものです。
教えるときに役立つこと
世界の歌を知っておくと、教えるはばが広がります。
生徒さんの「歌いたい曲」は、人それぞれです。いろいろな歌い方を知っていれば、その願いに寄りそえます。
また、世界の歌を入り口に、発声の土台を教えることもできます。「この民謡を歌うには、まず息の支えから」。そんな案内ができる人は、よい指導者になります。教える道も、声に関わる生き方のひとつです。
自分に合う関わり方を知る
世界の歌を、歌って楽しみたいのか。だれかに伝えたいのか。気持ちは、人それぞれです。
ひとりで考えても、答えは出にくいものです。適性診断で、いまの自分に合う進み方を確かめてみてください。
よくある質問
- 民族唱法は、独学でも学べますか?
- 聞いたり、まねしてみたりは、独りでもできます。ただし、声をこわさない歌い方は自分では気づきにくいです。土台の発声は、人に見てもらいながら学ぶと安心です。
- どの曲から始めるとよいですか?
- 版権切れの短い曲がおすすめです。たとえばシューベルトの「野ばら」や、日本の童謡「夕焼小焼」です。楽譜を手に入れやすく、言葉もやさしいので、最初の一曲に向いています。
- いろいろな歌い方を学ぶと、声が混ざってしまいませんか?
- 土台の発声が同じなので、心配は少ないです。むしろ、息の支えがしっかりしていれば、歌い方を切りかえやすくなります。まずは一つの曲を、ていねいに育てるとよいです。
参考にした一次情報
- MUSEION 版権切れ声楽データベース vocal_works(歌曲・童謡カテゴリ)
- シューベルト 野ばら D.257 / アヴェ・マリア D.839(IMSLP・パブリックドメイン)
- 草川信 夕焼小焼(1948年没・2019年パブリックドメイン)

