家庭と音楽活動を両立する

解説みち監修: 上野目 泰之3

家庭がいそがしくても、音楽はやめなくて大丈夫。一日五分の声出しと、無料で使える版権切れの曲で、歌も「教える」道もつづける具体策を紹介します。

結論:音楽と家庭は、二択ではありません。一日五分を積めば、両方つづきます。

「子育てや仕事がいそがしくて、歌から離れた」。そう感じる人は多いです。でも、やめなくて大丈夫です。声は、長い練習より「短く・毎日」でたもてます。

なぜなら、声は筋肉と感覚で動くからです。週に一度どっと使うより、毎日少しふれるほうが、感覚はにぶりません。

この記事では、五分でできる声出し、家計にやさしい曲えらび、そして「教える」という関わり方を順に紹介します。

一日五分、生活に声をまぜる

まとまった時間は、家庭があると取りにくいものです。だから、練習を「予定」にせず「生活の動作」に重ねます。

たとえば、こんな組み込み方があります。

  • 朝、顔をあらいながら、口をとじてハミングを三十秒
  • 食器をあらいながら、低い声で「んー」と軽くのばす
  • 寝る前に、息をゆっくり吐いて肩の力をぬく
  • 子どもといっしょに、童謡を一曲歌う

コツは「上手にやろう」としないことです。声をさびつかせない、それだけが目的です。五分が無理な日は、ハミング三十秒でも価値があります。

お金をかけない「版権切れ」の曲

持ち歌えらびにも、家計にやさしい方法があります。それが版権切れ(パブリックドメイン)の曲です。

版権切れとは、作った人が亡くなってから長い年月がたち、楽譜を自由に使える曲のことです。日本では、作曲者の死後七十年が一つの目安です。古い唱歌や歌曲が、ここに多くふくまれます。

家庭で歌いやすい例を挙げます。

  • 滝廉太郎(たきれんたろう)の「花」「荒城の月」
  • 「ふるさと」などの文部省唱歌
  • カッチーニやジョルダーニなど、イタリアの古い歌

童謡や唱歌は、子どもと声をそろえやすいのが利点です。家族の時間が、そのまま練習になります。さがすときは「パブリックドメイン 楽譜」で調べると、無料で読める楽譜が見つかります。

上達を急がず、気づける環境をつくる

自分の声は、自分の耳だと正しく聞こえません。骨をつたう音がまざるからです。

そこで、まずスマホで録音して聞き返します。「思ったより低い」「語尾が弱い」など、気づきが一気に増えます。

それでも、自分一人では気づけない癖は残ります。だから、ときどき見てくれる相手がいると安心です。教室でも、オンラインのつながりでもかまいません。一人でかかえこまないことが、長くつづける支えになります。

なお、声を出すと痛い、かれた声が治らないといった不調が続くときは、無理をせず耳鼻いんこう科などへ相談してください。

「歌う」から「育てる」へ、関わり方を増やす

歌う時間が取りにくい時期は、「教える」という関わり方も知っておくと心強いです。

教えることには、家庭と重ねやすい面があります。

  • レッスンの時間を、自分の都合で組みやすい
  • 自宅やオンラインでも始めやすい
  • 子育てや回り道の経験が、生徒に寄りそう力になる

ここでも版権切れの曲が役立ちます。無料で配れるので、生徒に教材費の負担をかけずにすみます。土台が発声であることは、歌うときも教えるときも変わりません。

ただし、学べば必ず指導者になれる、収入が増えると約束するものではありません。まずは「こういう道もある」と知ることが、第一歩です。

さいごに

ここまで読んで「人の声を育てるのも面白そう」と感じたなら、その感覚は見すごせないヒントです。教える適性は、性格や経験とも深く結びつきます。

短い適性診断で、いまの強みと、これから伸ばせる点を確かめてみてください。家庭とつづける次の一歩が、少し見えやすくなります。

よくある質問

いそがしくて毎日は練習できません。週末だけでも声はたもてますか?
週末だけでも、何もしないよりずっと良いです。ただ、声は毎日少し使うほうがおとろえにくいです。食器をあらいながらのハミングなど、三十秒〜五分でできることを生活に重ねると、無理なくつづきます。
版権切れの曲は、どこで手に入りますか?
無料で読める楽譜サイトで手に入ります。「パブリックドメイン 楽譜」で調べると見つかります。日本では作曲者の死後七十年がたった曲が目安で、滝廉太郎や文部省唱歌、イタリアの古い歌が家庭でも歌いやすくおすすめです。
歌う時間がほとんど取れません。それでも音楽とつづけられますか?
はい。歌う以外にも、教える・支えるなど、音楽との関わり方はいくつもあります。なかでも教える道は時間を組みやすく、家庭と重ねやすい面があります。ただし、必ず指導者になれる、収入が増えると約束するものではありません。

参考にした一次情報

  • MUSEION 声楽用語事典(発声・呼吸の章)
  • 版権切れ声楽データベース vocal_works(童謡・唱歌・イタリア古典歌曲)
  • CPDL / IMSLP(パブリックドメイン楽譜の一次ソース)