一生をかけて音楽と関わる

解説みち監修: 上野目 泰之3

音楽と一生関わる道はいくつもあります。教える道も含めた選び方と、版権切れの楽曲をやさしく紹介します。

結論:音楽と一生関わる道は、一つではありません

「演奏する人」になるだけが、音楽の道ではありません。教える、支える、伝える。関わり方はいくつもあります。そして、どの道でも土台は発声です。声の使い方を学ぶことは、すべての出発点になります。

この記事では、いろいろな関わり方と、長く付き合える楽曲を紹介します。

音楽と関わる、いろいろな道

音楽との付き合い方は、人それぞれです。たとえば、こんな道があります。

  • 歌う — 合唱や独唱で、声を届けます。
  • 教える — 学んだことを、人に手わたします。
  • 支える — 演奏する人を、裏から助けます。
  • 作る・選ぶ — 曲を選んだり、場をととのえたりします。

どれも、立派に音楽と関わる道です。一つに決めなくても大丈夫です。

どの道でも、土台は発声

道はちがっても、根っこは同じです。それは声の出し方です。

息の支え、のどを締めない発声、声をこわさない使い方。これらは、歌う人にも、教える人にも役立ちます。土台がしっかりしていれば、あとからどの方向にも進めます。

だから、まず発声の基礎を学ぶことが、長く音楽と関わる第一歩になります。

一生付き合える「版権切れ」の楽曲

長く関わるなら、たくさんの曲を知っておくと心強いです。なかでも版権切れの楽曲は、安心して使えます。

版権切れとは、作曲家が亡くなってから長い年月がたち、楽譜を自由に使える曲のことです。日本では、亡くなってから70年が目安です。

たとえば、こんな作曲家の曲があります。

  • バッハ・ヘンデル — 重みのある宗教曲やアリア。
  • モーツァルト — 明るく、歌いやすい曲。
  • シューベルト — 歌曲(リート)の名作がたくさん。
  • フォーレ — やわらかく美しい響き。
  • 滝廉太郎 — 「荒城の月」など、日本の歌。

これらは、自由に楽譜を手に入れて練習できます。発声の基礎を学ぶ教材としても向いています。

楽譜を安全に手に入れるコツ

版権切れの楽譜は、信頼できる場所から手に入れましょう。

  • CPDL(合唱の楽譜サイト)やIMSLP(クラシック全般)が定番です。
  • 編曲した人が最近の人だと、その編曲には別の権利が残る場合があります。元の楽譜に近い版を選ぶと安心です。

確かな場所を使えば、あとから「使えなかった」と困ることが減ります。

教える道もある

音楽の関わり方の中でも、教える道は、年齢や経験が強みになります。

回り道や、うまくいかなかった経験も、生徒さんに寄りそう力に変わります。一度つまずいた人ほど、人の気持ちがわかるからです。

教えるときは、まず自分が声の土台を持っていることが助けになります。そして、版権切れの楽曲を知っていると、生徒さんに合う曲をすぐ選べます。学ぶことと教えることは、地続きです。今日学んだことが、いつか誰かを支える日が来ます。

なお、声を使う中で痛みや強い不調があれば、無理をせず専門の機関に相談してください。長く続けるために大切なことです。

まず、自分の道を整理してみましょう

どの道が合うかは、ひとりで考えても答えが出にくいものです。今の気持ちや状況を、いっしょに整理するところから始めましょう。

成果を急ぐ必要はありません。独りで悩まなくて大丈夫です。適性診断で、自分に合う方向を確かめてみてください。

よくある質問

演奏の経験がなくても、音楽の道に進めますか?
はい。教える道や支える道など、演奏が中心でない関わり方もあります。どの道でも、まず声の基礎を学ぶことが土台になります。経験は、これから積めば大丈夫です。
版権切れの楽曲は、本当に自由に使っていいのですか?
元の楽曲は自由に使えます。ただし、最近の人が編曲した版には、その編曲の権利が残ることがあります。CPDLやIMSLPなど信頼できる場所で、元に近い版を選ぶと安心です。
歌うのが得意でなくても、教える側になれますか?
なれます。教えるときに大切なのは、声のしくみを理解し、生徒さんに寄りそう力です。自分が完ぺきに歌えることより、相手の小さな変化に気づける力が役立ちます。

参考にした一次情報

  • MUSEION 声楽用語事典(発声・共鳴の章)
  • 版権切れ声楽データベース vocal_works(合唱・歌曲・童謡のレパートリー)
  • CPDL(ChoralWiki)パブリックドメイン合唱譜カタログ
  • IMSLP(International Music Score Library Project)