ハミング練習の効果と正しいやり方
口を閉じて「んー」と鼻にひびかせるハミングで、声をいためずに「ひびきの感覚」と声のなめらかさを育てる、基本の練習法と教え方をやさしく解説します。

ハミングは、声をいためにくく、ひびきの感覚を育てる、土台づくりの練習です
ハミングとは、口を閉じて「んー」と鼻に音をひびかせる練習です。声帯(声を出すヒダ)への負担が小さく、はじめての人でも取り組みやすいのが特長です。だから、まず最初に身につけてほしい基本になります。
ハミングで何が育つのか
ハミングをすると、鼻のあたりがふるえる感覚が分かります。この感覚は「マスクのひびき」と呼ばれ、明るくとおる声につながります。
主に育つ力は、次の3つです。
- ひびきの感覚:鼻や顔の前のあたりに、音を集める感じをつかめます。
- なめらかなつながり:低い音から高い音まで、声がとぎれにくくなります。
- 声へのやさしさ:強く出さないので、声がつかれにくくなります。
声を温める前のじゅんびにも、歌ったあとの整理にも使えます。声がつかれている日でも、軽く続けやすいのも良い点です。
正しいやり方(基本の手順)
むずかしい道具はいりません。次の順番でやってみてください。
- 口を軽く閉じ、歯と歯の間は少し空けます。
- 鼻から息をすい、肩は上げずに楽にします。
- ふだん話す高さで「んー」とのばします。
- 鼻や口のまわりが、軽くふるえる場所をさがします。
- 「ドレミファソファミレド」と、ハミングのまま音を上げ下げします。
- 高さを少し変えて、同じことを2〜3回くりかえします。
コツは、大きな音を出さないことです。音は小さめで十分です。のどに力が入ったら、いったん止めて、肩の力をぬきましょう。
やりすぎないための注意
良い練習でも、無理は禁物です。1回5分くらいから始め、軽い音で行いましょう。
のどがしめつけられる感じや、痛みが出たら、すぐにやめてください。声がかれたまま続けるのも、さけたほうが安全です。痛みや強い不調が続くときは、自分で判断せず、専門の医療機関へ相談してください。
教えるときに役立つこと
教える側として、まず見てほしいのは「音の大きさ」です。生徒は、はりきって大きくやりがちだからです。
- 「半分の音で」と声をかけ、力みをへらします。
- 鼻のあたりに手を当てさせ、ふるえを自分で確かめてもらいます。
- 高い音で苦しそうなら、無理に上げず、楽な高さにもどします。
ハミングは、声がつかれにくいので、レッスンの始めと終わりの両方に組みこめます。生徒が「ひびく場所」を体で覚えると、母音の発声にも応用しやすくなります。言葉で説明しすぎず、感覚を見つけてもらう姿勢が大切です。
まとめ
ハミングは、安全に、ひびきの土台を育てられる練習です。毎日少しずつ続けることで、声の感覚は確かに育ちます。
声を教える仕事に興味がわいたら、自分の向き不向きも気になるはずです。気軽な気持ちで、適性診断で確かめてみてください。
よくある質問
- ハミングは1日にどれくらいやればいいですか
- まずは1回5分くらいから始めると安心です。軽い音で、毎日少しずつ続けるほうが、長く強くやるより感覚が育ちます。のどがつかれたら休みましょう。
- 口は閉じたほうがいいですか、少し開けてもいいですか
- くちびるは軽く閉じますが、歯と歯の間は少し空けるのがコツです。口の中に空間ができ、音がよくひびきます。あごや舌に力が入らないようにしましょう。
- 鼻がふるえる感じが分かりません
- 最初は分かりにくくても大丈夫です。鼻のわきに指を当て、ふだん話す高さで「んー」と小さくのばしてみてください。力を入れず、音を小さくするほど感じやすくなります。
参考にした一次情報
- MUSEION 声楽用語事典(練習法(ハミング)の章)
