はじめてのレッスンの組み立て方

やり方ハル監修: 上野目 泰之3

はじめてのレッスンは、4つの流れを決めて「中心はひとつだけ」にしぼると、迷わず組み立てられます。

結論:レッスンは「流れ」を決めると、迷いません

はじめてのレッスンは、誰でもきんちょうします。でも、組み立て方には決まった流れがあります。流れを先に決めておけば、当日あわてずにすみます。

大切なのは、教える順番を「型」として持っておくことです。

まず1回のレッスンを4つに分ける

1回のレッスンを、4つのまとまりに分けます。こうすると、全体が見えやすくなります。

  • あいさつと確認 — 体調や気分を聞きます。声は体の調子に左右されます。
  • 準備運動(ウォームアップ) — 軽く声を出して、のどと体をあたためます。
  • その日の中心 — いちばん伝えたいことを、ひとつだけ練習します。
  • ふりかえり — できたことを伝え、次の宿題を渡します。

この4つを順番に並べるだけで、レッスンの形になります。

「ひとつだけ」にしぼる

はじめての人がやりがちなのが、たくさん教えることです。気持ちはわかります。でも、一度にたくさん渡すと、生徒さんは覚えきれません。

だから、その日の中心はひとつだけにしぼります。「今日は息の流れ」「今日は姿勢」というように、です。ひとつに集中したほうが、変化が起きやすくなります。

最初の10分で「今」を知る

レッスンの最初に、生徒さんの今の声を聞きます。録音すると、もっとよくわかります。

  • どんな声を出したいのか
  • どこでつまずいているのか
  • 今日は、どんな調子か

これを聞いてから、その日の中心を決めます。決めた内容を押しつけるのではなく、相手に合わせる。これが、続けてもらうコツです。

ゴールから逆算する

その日のレッスンは、ゴールから逆算して作ります。「今日の終わりに、何ができていたいか」を先に決めるのです。

たとえば「最後まで息がつづく」をゴールにします。すると、準備運動も、中心の練習も、そこに向けて選べます。ゴールが先、中身はあとです。

声をこわさない順番にする

組み立てで気をつけたいのが、体への負担です。いきなり高い声や大きな声から始めてはいけません。

軽い声から始めて、少しずつ強くしていきます。終わりには、また軽い声でクールダウンします。スポーツの前後と同じ考え方です。

もし生徒さんが痛みや強い不調を訴えたら、その日は無理をさせないでください。痛みが続くときは、専門の機関へ相談をすすめましょう。声を守ることが、何より優先です。

教えるときに役立つこと

レッスンの型を持っておくと、教える側がとても楽になります。

毎回ゼロから考えると、つかれます。準備にも時間がかかります。でも、4つの流れという土台があれば、「今日の中心は何にしよう」だけを考えればよくなります。空いた力を、生徒さんを見ることに使えます。

同じ型をくり返すと、生徒さんも安心します。次に何が起きるか、わかるからです。安心できる場所は、上達を早めます。型は、しばりではなく、お守りです。

まずは型を、ひとつ持つことから

はじめてのレッスンは、完ぺきでなくてかまいません。この4つの流れを、まず1回ためしてみてください。やってみると、自分なりの形が見えてきます。

「教える側に向いているかな」と感じたら、適性診断で、いまの自分に合う学び方を確かめてみてください。

よくある質問

1回のレッスンは、どれくらいの時間にすればいいですか?
30分から60分が一般的です。はじめは短めでも大丈夫です。時間より、4つの流れ(あいさつ・準備運動・中心・ふりかえり)を入れることのほうが大切です。
毎回、同じ流れでいいのですか?
はい。同じ型をくり返すほうが、生徒さんは安心します。変えるのは『その日の中心』だけで十分です。型があると、教える側も準備が楽になります。
教える内容が思いつかないときは、どうすればいいですか?
生徒さんの今の声を聞いて、いちばん気になった一点を中心にします。たくさん思いつく必要はありません。ひとつにしぼるほうが、変化が起きやすくなります。

参考にした一次情報

  • MUSEION 指導者育成プログラムの運営知見
  • MUSEION 声楽用語事典(ウォームアップ・発声生理の章)