声を使う道はたくさんあり、どれも土台は「発声」です
声の仕事は、歌手だけではありません。歌い手、ボカロ文化、朗読、ナレーション。形はいろいろあります。
でも、共通する土台がひとつあります。それが発声です。土台がしっかりすると、どの道でも声が安定します。順番に見ていきましょう。
「歌い手」という生き方
歌い手とは、動画サイトなどで歌を発表する人のことです。学校や事務所に入らなくても、活動を始められます。
歌い手の魅力は、自分らしさが出せることです。曲の選び方や声の色で、その人の個性が伝わります。
ただし、楽しさと体の負担は別の話です。長く続けるには、声をこわさない使い方が要ります。ここで効いてくるのが、やはり発声の土台です。
ボカロ文化と声
ボカロとは、コンピューターで歌声を作る技術のことです。ここから、たくさんの新しい曲が生まれました。
おもしろいのは、人が歌う声との関係です。ボカロの曲を、生身の声で歌い直す人も多くいます。
機械の声と人の声。ちがいを知ると、自分の声の良さに気づけます。人の声にしか出せない表現がある。それを見つけるのも、発声を学ぶ楽しみのひとつです。
レパートリーは「版権切れ」から始めると安心
レパートリーとは、自分が歌える曲のことです。練習用の曲を選ぶとき、おすすめがあります。
それは、版権切れの曲です。版権切れとは、作った人が亡くなってから長い年月がたち、自由に使えるようになった曲のことです。
たとえば、こんな曲があります。
- 滝廉太郎の「荒城の月」「花」など、日本の古い歌
- モーツァルトやシューベルトの歌
- 昔から歌いつがれてきた、各国の童謡
これらは練習に使いやすく、楽譜も手に入れやすいです。声の基本を学ぶ題材として、長く愛されてきました。新しい曲の利用ルールが心配なときも、まず版権切れの曲なら安心して取り組めます。
体の声に、耳をかたむける
どの道を選んでも、体は大切な道具です。声がかれた日は、無理をしないでください。
声は、休むと回復します。練習をがんばる日と、休む日。両方あって長く続きます。
もし、痛みや強い不調が続くときは、専門の機関へ相談してください。これは、声を長く使うための大事な習慣です。
教える側になる道もあります
声の道には、もうひとつの選び方があります。それは、だれかに教える側になることです。
自分が学んだことは、人に伝えられます。発声の土台を言葉で説明できると、教える力になります。
教えるときに役立つことが、ひとつあります。それは、生徒さんに合った曲を選べることです。
- 声の高さに合った曲を、版権切れの中から選ぶ
- むずかしさを、少しずつ上げていく
- なぜその曲なのかを、やさしく説明する
歌う力と、教える力。これは別の力です。どちらも、練習で育てられます。「自分にも教えられるかも」。そう思えたら、それも立派なひとつの道です。
まず、自分の向き不向きを知ろう
ここまで、いくつもの道を見てきました。歌い手、ボカロ文化、版権切れのレパートリー、そして教える道です。
どれが正解、ということはありません。大切なのは、自分に合った道を知ることです。「これになれる」と決めつけず、まず自分を知るところから始めましょう。
自分の声や性格が、どの道に向いているか。気になった方は、適性診断で確かめてみてください。短い質問に答えるだけで、向いている方向のヒントが見つかります。
よくある質問
- 歌い手になるのに、事務所や学校は必要ですか?
- かならずしも必要ではありません。動画サイトなどで、一人でも活動を始められます。ただし長く続けるには、声をこわさない発声の土台があると安心です。
- なぜ練習に版権切れの曲がおすすめなのですか?
- 版権切れの曲は、自由に使えて楽譜も手に入れやすいからです。滝廉太郎の歌や昔の童謡など、声の基本を学ぶ題材として長く愛されてきました。利用ルールの心配が少ないのも利点です。
- 歌うのが上手でないと、教える側にはなれませんか?
- 歌う力と教える力は別の力です。発声のしくみを言葉で説明できることや、生徒さんに合う曲を選べることが、教える力になります。どちらも練習で育てられます。
参考にした一次情報
- MUSEION 版権切れ声楽データベース(vocal_works・CPDL / IMSLP 一次出典)
- MUSEION 声楽用語事典(発声生理の章)

