はじめてのオペラアリア入門

解説カンタ監修: 上野目 泰之3

オペラアリアの入り口を、著作権切れの名曲と無理のない手順でやさしく解説します。

まず結論:オペラアリアは「声の土台づくり」に向いた、昔の名曲から始めると安心です

オペラアリアは、オペラ(歌の劇)の中で一人で歌う場面の曲です。
むずかしそうに見えますが、入り口は意外とやさしいです。
ポイントは2つあります。

  • 著作権が切れた古い曲(だれでも自由に使える曲)から選ぶこと
  • 高い声よりも、息と言葉を大切にする曲から始めること

この2つを守れば、初めてでも安全に学べます。

オペラアリアって、そもそも何?

アリアは「主役が気持ちを歌う、聞かせどころの曲」です。
ドラマの中で、登場人物が心の中を声にします。
だから歌うときは、声の技術だけでなく「気持ちを伝える力」も育ちます。

オペラの多くはイタリア語やドイツ語です。
言葉が分からなくても大丈夫です。
読み方を一語ずつ覚えれば、少しずつ歌えるようになります。

最初に選びやすい「著作権切れ」の曲

古い作曲家の曲は、著作権が切れていることが多いです。
楽譜を無料で手に入れやすく、練習にも使いやすいです。
たとえば、次のような曲があります。

  • モーツァルト(1791年に亡くなった作曲家)「恋とはどんなものかしら」(原題 Voi che sapete)。やさしく歌える定番です。
  • モーツァルト「もう飛ぶまいぞこの蝶々」(原題 Non più andrai)。低めの男声に向いた曲です。
  • ヴェルディ(1901年に亡くなった作曲家)「乾杯の歌」(原題 Libiamo)。明るくにぎやかな場面の曲です。
  • ビゼー(1875年に亡くなった作曲家)「闘牛士の歌」(原題 Toreador Song)。力強く、堂々と歌えます。

これらは「死後70年以上たった作曲家」の曲です。
そのため、日本では自由に使えます。

練習の進め方(あせらない手順)

順番を決めると、迷わず進めます。

  1. 聞く:まず録音を何回も聞きます。曲の流れを耳でつかみます。
  2. 読む:歌詞を声に出して読みます。歌わず、言葉だけ練習します。
  3. メロディだけ:ピアノや音の出るアプリで、音の高さを確かめます。
  4. 少しずつ歌う:1行ずつ、ゆっくり歌います。
  5. つなげる:歌えた行を、少しずつつなぎます。

高い声を無理に出す必要はありません。
自分が楽に出せる高さに直して歌う方法もあります。
楽譜の高さを変えることを「移調」と言います。

体のサイン:無理をしないために

歌っていて、のどがつらいときは休みます。
痛みや、声がかすれて続くときは、無理をしないでください。
痛みや強い不調があれば、専門機関へ相談してください

土台になるのは、いつも発声です。
正しい息の使い方を身につければ、どんな曲も歌いやすくなります。

教えるときに役立つこと

オペラアリアは、教える場面でも力を発揮します。
歌い方を「説明する力」が育つからです。

  • 言葉の読み方を、一語ずつ分けて伝えられます。
  • 「楽な高さに直す」という考え方を、生徒に渡せます。
  • 古い名曲は、世代をこえて多くの人に伝えられます。

声を伝える道には、自分が歌う道だけでなく、教える道もあります。
名曲を入り口に、教える楽しさに出会う人もいます。
どちらの道でも、土台は同じ発声です。

まず、自分に合う入り口を知ろう

オペラアリアは、一人で悩まなくて大丈夫です。
順番を守れば、初めてでも少しずつ歌えるようになります。
向いている入り口は、人によって違います。
まずは肩の力をぬいて、適性診断で確かめてみてください
あなたに合う一歩が、きっと見つかります。

よくある質問

楽譜のお金はかかりますか?
古い作曲家(モーツァルトやヴェルディなど)の曲は著作権が切れているので、無料で手に入る楽譜が多いです。まずはそうした曲から始めると安心です。
高い声が出ません。歌えますか?
大丈夫です。楽譜の高さを自分が楽に出せる高さに直す「移調」という方法があります。無理に高い声を出す必要はありません。
外国語が読めなくても歌えますか?
歌えます。歌詞を一語ずつ、読み方を声に出して覚えれば、少しずつ歌えるようになります。最初は意味より読み方からで十分です。

参考にした一次情報

  • IMSLP(国際楽譜ライブラリープロジェクト): モーツァルト「フィガロの結婚」「魔笛」楽譜
  • IMSLP: ヴェルディ「椿姫」乾杯の歌、ビゼー「カルメン」闘牛士の歌 楽譜
  • 著作権の保護期間(著作者の死後70年・戦時加算): 文化庁の解説に基づく一般的事実