「ハモる」とは、音を重ねたときに、にごりが消えて一つの大きな音に聞こえることです。きれいに重なる音の組み合わせを選び、お互いの音をよく聞き合えば、声はぴたっとそろいます。
ハモるしくみ:にごりが消える瞬間
二つの声を重ねると、合う組み合わせと、合わない組み合わせがあります。
- よく合う音どうしは、ゆれが少なく、一つにとけて聞こえます。これを「協和(きょうわ)」と呼びます。
- 合いにくい音どうしは、ざわざわとゆれて、緊張した感じになります。これを「不協和(ふきょうわ)」と呼びます。
なぜ合う音と合わない音があるのでしょうか。それは、音の高さの「数の比」で決まります。
たとえば、ドとソは、音のゆれの回数が「3対2」というきれいな比になります。比がきれいだと、二つの音はよくとけ合います。ドとミは「5対4」で、これも明るくよく合います。
ハモった瞬間、音の「ビート」が消えます。ビートとは、二つの音が少しずれているときに出る、ワンワンといううなりのことです。ぴったり合うと、このうなりが消えて、音が止まって聞こえます。プロの合唱団は、この「止まる感じ」をたよりに音を合わせます。
ピアノに合わせるときは、少しだけ考え方が変わる
声だけ(アカペラ)でハモるときと、ピアノと合わせるときでは、ねらう音がほんの少し違います。
- 声だけのときは、いちばんよくとける「ぴったりの音」を自由に作れます。
- ピアノは、どの調でもひけるように、わざと少しずつずらした音で調整されています。
つまり、ピアノと歌うときは、ピアノの音に自分を合わせます。声だけのときは、もっと深くとける音をねらえます。この二つを切りかえられると、いろいろな場面でハモれるようになります。
ハモる手順:三つのステップ
ハモりは、つぎの順番で練習すると育てやすいです。
- まず、自分の音をまっすぐにのばします。ゆれが大きいと、相手の音と合わせにくくなります。
- つぎに、相手の音をよく聞きます。自分の声を少し小さくして、二人の声のまん中を聞く感じです。
- 最後に、うなりが消える場所をさがします。半音より細かく、ほんの少し上げ下げして、音が「止まる」点を見つけます。
声を出すタイミングをそろえることも大切です。音の出だしと切り方を合わせると、二つの声が一つの音に聞こえます。これを「縦(たて)の線をそろえる」と言います。
教えるときに役立つこと
ハモりを教えるときは、「正しい・まちがい」で止めないことが大切です。生徒は、自分の耳でうなりを見つけられると、ぐんと伸びます。
- 「いま、ワンワンというゆれが聞こえる?」と問いかけ、耳を向けさせます。
- 音を少しずつ動かして、「どこでゆれが消えた?」と本人に探させます。
- すぐに合わなくても、あせらせないでください。耳が育つには時間がかかります。
声を強く出しすぎると、のどがつかれます。長くハモる練習のときは、小さめの声でも合わせられることを伝えてください。もし、のどの痛みや声が出にくいなどの強い不調が続くときは、無理をせず、耳鼻科などの専門の機関に相談するようにすすめてください。
ハモる感覚は、教えてすぐ身につくものではありません。少しずつ耳を育てる学びだと考えると、生徒も気持ちが楽になります。
自分に向いているか、確かめてみませんか
人の耳を育てる仕事は、根気と観察が好きな人に向いています。あなたにこの仕事が合うかどうか、まずは適性診断で確かめてみてください。短い質問に答えるだけで、あなたの強みが見えてきます。
よくある質問
- 音痴でもハモれるようになりますか?
- はい、練習で近づけます。ハモりは生まれつきの才能より、耳の使い方の練習で育ちます。まず自分の音をまっすぐのばし、相手の声をよく聞くことから始めてください。すぐにできなくても、あせらず続けることが大切です。
- ハモれているか、自分でわかる方法はありますか?
- 音の「うなり」を聞くとわかります。二つの音がずれていると、ワンワンというゆれが聞こえます。そのゆれが消えて、音が止まって聞こえたら、うまくハモれた合図です。
- ピアノと声だけで、合わせ方が違うのはなぜですか?
- ピアノは、どの調でもひけるように音を少しずつずらして調整してあるからです。だからピアノと歌うときは、ピアノの音に自分を合わせます。声だけのときは、もっと深くとける音を自由にねらえます。
参考にした一次情報
- MUSEION 声楽用語事典(音楽理論(和声)の章)


