声の練習に役立つアプリ

やり方レック監修: 上野目 泰之4

録音・ピッチ・テンポの3種類のアプリを「声のどの悩みに効くか」で選ぶと、ひとりでも声を確かめられます。教える側が学びの場を整える使い方もあわせて紹介します。

声のアプリは「悩み別」に選ぶと迷わない

声の練習でアプリを開くと、種類が多すぎて手が止まります。結論から言うと、選び方はかんたんです。アプリは「自分の声のどの悩みに効くか」で選びます。声の悩みは大きく3つに分かれます。録音、音の高さ、テンポです。この3つに合わせて1本ずつ持てば、はじめは十分です。

悩み1「自分の声が分からない」には録音アプリ

出している声と、自分の耳に聞こえる声はちがいます。だから録音が要ります。スマホに最初から入っている録音機能でかまいません。

使うときの目安はこうです。

  • スマホは口から30センチほど離して置く
  • 練習のはじめと終わりに、同じ短いフレーズを録る
  • ファイル名に日付を入れて、週末にまとめて聞く

録った声を聞くのは、最初は気が重いものです。それでも、週に1回聞きくらべるだけで、先週との差が分かります。差が分かれば、直す場所もしぼれます。

悩み2「音程が外れる」には高さを見るアプリ

次は、声の高さを画面に出すアプリです。歌った音が、目標の高さに届いているかが線や数字で見えます。

画面で見るのは1点だけで足ります。フレーズの「終わり」で線が下がっていないかです。声は語尾でぶら下がりやすいからです。下がる場所が分かったら、そこだけをゆっくり3回歌い直します。耳では気づけないわずかな外れも、画面なら拾えます。

悩み3「走る・もたつく」にはテンポ系アプリ

リズムが不安定なら、テンポを刻むアプリを足します。

  • まず正しい速さの8割で歌い、外さずに通せるか確かめる
  • 通せたら本来の速さに戻す
  • それでも乱れる小節だけ、速さを落として部分練習する

音合わせ用のアプリも、声の高さの確認に転用できます。どちらも無料で十分に試せます。まず無料で2、3本入れて、画面が見やすいものを1本だけ残してください。アプリは増やすほど開かなくなります。

教える側は「いっしょに画面を見る」道具として使う

ここからは指導者向けです。同じアプリが、教える力を支えてくれます。

生徒さんの声を録って、いっしょに聞く。高さの画面を二人でのぞき、先週より良くなった一点を具体的にほめる。「語尾が下がらなくなりましたね」と言えると、生徒さんの表情が変わります。漠然と「上手」と言うより、画面が示す事実で伝えるほうが、納得につながります。

録音や発表は、生徒さんの目標の場にもなります。たとえば次のような場です。

  • スマホで弾き語りを録り、月に1本ためる
  • 教室の小さな発表会に向けて仕上げる
  • 地域のイベントで歌う機会にそなえる

大切な前提があります。これは仕事のあっせんや収入の約束ではありません。指導者が、生徒さんの学びの場を整える教え方の話です。声を画面で確かめながら、成長の場を組み立てる。これも指導の技術のひとつです。

アプリに任せきりにしない

便利でも、アプリは助手にすぎません。最後に声を出すのは自分です。

声が出しづらいとき、のどに痛みや違和感が続くときは、無理をしないでください。アプリや自己判断で済ませず、耳鼻咽喉科など専門の機関に相談しましょう。体を守りながら学ぶことが、長く声を使い続けるための土台になります。

まとめと、次の一歩

声のアプリは、悩み別に「録音・高さ・テンポ」を1本ずつ。これで練習はぐっと回り出します。そして同じ仕組みが、人に教える場面でも生きてきます。

画面で声を確かめ、生徒さんの学びの場を整える。そんな指導の道に心が動いたなら、向き不向きをひとりで抱え込む必要はありません。あなたの声への向き合い方が指導に向くかどうか、適性診断で静かに棚おろししてみてください。

よくある質問

声のアプリは、どれから入れればいいですか?
悩み別に1本ずつが基本です。まずスマホの録音機能、次に声の高さを画面に出すアプリ、リズムが不安定ならテンポを刻むアプリを足します。無料で2、3本試し、画面が見やすいものを1本だけ残すと迷いません。
高さを見るアプリは、画面のどこを見ればいいですか?
フレーズの終わりで線や数字が下がっていないか、その一点で十分です。声は語尾でぶら下がりやすいからです。下がる場所が分かったら、そこだけをゆっくり3回歌い直すと直しやすくなります。
アプリは教えるときにも使えますか?
使えます。生徒さんの声をいっしょに録って聞き、画面が示す事実で良くなった一点を具体的にほめられます。録音や発表は目標の場にもなります。これは仕事のあっせんではなく、指導者が学びの場を整える教え方のひとつです。