ボイストレーナー志望が読む本の選び方

やり方みち監修: 上野目 泰之9

ボイストレーナーを目指す人が、声のしくみと教え方の2本柱で本を選ぶコツを、やさしく整理します。

結論:本は「声のしくみ」と「教え方」の2本柱で選ぶと失敗しません

ボイストレーナーを目指すなら、まず声のしくみの本教え方の本を1冊ずつ持つのがおすすめです。歌い方だけの本に片寄ると、教える力は育ちにくいからです。

ボイストレーナーに国の資格はありません。だからこそ、何を読んで学んだかが、あなたの土台になります。

なぜ本選びが大事なのか

声は目に見えません。だから、言葉で説明できることが、指導者の力になります。

良い本は、その言葉のもとになります。感覚だけで覚えたことは、人にうまく伝わりません。でも、しくみを言葉で知っていれば、生徒さんに分かりやすく届けられます。

つまり本選びは、教える準備そのものです。

まず読むべき2種類の本

最初の1冊は、次の2種類から選びましょう。

  • 声のしくみの本 — 声帯や息の流れなど、声が出る理由を学べる本です。図が多いものが入りやすいです。
  • 教え方・伝え方の本 — 人にものを教えるコツを学べる本です。声以外の指導書でも役に立ちます。

この2本柱があると、「なぜそうなるか」と「どう伝えるか」の両方が身につきます。

良い本を見分ける5つの目印

本屋さんやネットで迷ったら、次の点を確かめてください。

  1. 根拠が書いてある — 「こうなる」だけでなく「なぜなら」がある本を選びます。
  2. 言葉がやさしい — 読んで分かる本が、結局いちばん身につきます。
  3. 図やイラストがある — 声は形が見えないので、絵があると理解が進みます。
  4. 新しすぎず古すぎない — 体の説明は、極端に古い本だと内容が変わっている場合があります。
  5. 著者の立場が分かる — 誰が、どんな経験で書いたかが分かると安心です。

全部を満たさなくても大丈夫です。3つそろえば、良い1冊と考えてよいでしょう。

気をつけたい本の選び方

避けたいのは、1冊だけを正解だと思いこむことです。

声の出し方には、いろいろな考え方があります。本によって言い方がちがうのは、ふつうのことです。2〜3冊を読みくらべると、共通する大事な部分が見えてきます。

また、「すぐ高い声が出る」といった強い言葉だけの本には、少し注意しましょう。近道をうたう本より、土台をていねいに説明する本のほうが、長く役に立ちます。

本だけでは足りない部分

正直にお伝えします。本だけでは、足りない部分もあります。

それは、自分の耳と声を、外から見てもらうことです。声は録音して聞いても、自分では気づけないクセがあります。本で学んだことを、実際に試して、人に聞いてもらう。この往復で、はじめて身につきます。

なお、声を出していて痛みや強い違和感があるときは、無理をせず専門の機関へ確認してください。学びは、体を守りながら進めるものです。

教えるときに役立つこと

ここが、いちばん大切な視点です。

本を読むときは、「自分が歌うため」ではなく「人に教えるため」という目で読んでみてください。同じ本でも、見え方が変わります。

たとえば、本に出てくる説明を「中学生にも分かる言葉に直すと、どう言うか」を考えながら読みます。この練習をすると、知識が"伝えられる知識"に変わります。

教える道を選ぶ人にとって、本は「自分の引き出し」を増やす道具です。読んだ数だけ、生徒さんへの言葉のえらび方が豊かになります。ひとりで抱えこまず、学んだことを誰かと話すと、理解はもっと深まります。

次の一歩

「どんな本から読めばいいか、自分の今に合うものを知りたい」。そう感じたら、まずはセルフチェックで、いまのあなたに合う学び方を確かめてみてください。あなたの興味や目標から、合う一歩をやさしくご案内します。

声の違和感があるときの線引き

声の痛み、声がれ、強い違和感が続く場合は、練習を止め、耳鼻咽喉科などの医療機関を受診してください。ここでの内容は、診断や治療を目的にしたものではなく、日々の学び方を整理するための読みものです。

資格より先に残るもの

入口は小学校の合唱と、家にあった古いキーボード。高校で声楽を学び始め、音楽大学進学を考えた時期があります。そのあとに音楽を学んだあと、事務職や制作補助など演奏以外の仕事も経験。離れた時間を経て、音楽との距離を作り直すテーマを持つようになりました。声のことを書くとき、私は入口が小さかった頃の感覚を、できるだけ忘れないようにしています。

声を教える仕事に興味がある人ほど、「自分に教える資格があるのか」で立ち止まりやすいです。

地域文化施設で出会う人たちは、プロになるためだけに音楽へ戻ってくるわけではありません。その姿を見ると、音楽との関わり方はもっと柔らかくていいと思います。

「ボイストレーナー志望が読む本の選び方」も、いきなり結論から入ると少し遠い話になります。私は、読者が今日の自分に引き寄せて考えられる言葉から置いていきたいです。だから私は、急いで戻らなくていい、と言える文章にしたいです。

声を聞く耳の作り方

好きな曲を聞くとき、私はリズムの感じ方や息の置き方をよく見ます。日本歌曲、リート、静かな映画音楽。強い成功物語より、人生の途中で何度も聴き直せる曲に惹かれます。だから「ボイストレーナー志望が読む本の選び方」でも、方法の名前より、その人の声が少し動く瞬間を見ます。

声や音楽の選び方には、その人がこれまで何を大切に聞いてきたかが出ます。強い声に惹かれる人もいれば、語尾の柔らかさに安心する人もいます。私は「ボイストレーナー」を、そういう聞き方の癖まで含めて見ています。

教える準備で止まるとき

私が「ボイストレーナー志望が読む本の選び方」を考えるとき、資格や肩書きより先に、目の前の人が一つ気づく場面を思い浮かべます。「今週使える時間を書き出す」のような経験を言葉にできると、「本の選び方」というテーマは自分の遠回りを誰かに手渡す入口になります。

調べ始めると、正しい方法、避けたほうがよい方法、経験者の意見が一度に出てきます。どれも大事に見えるので、最初の一歩が重くなります。

そんなとき、私は「昔の楽譜を開く」くらいの小さな確認まで戻します。大きな問題として抱える前に、一回の録音、一文の読み方、次の予約の声かけのように切り出す。そこまで小さくすると、今日扱える範囲が見えてきます。

今の強みを見つける

迷いが強いときは、いきなり答えを決めずに、次の三つへ分けてみてください。

  • 今すぐ試せること
  • 誰かに見てもらったほうがよいこと
  • まだ決めなくてよいこと

この分け方をすると、「本の選び方」の不安と「ボイストレーナー」の不安が少し離れて見えます。全部を同じ重さで抱えなくていい。私も、遠回りの中で何度もこの考え方に助けられてきました。

諦めるか続けるかの二択ではなく、今の生活に合う距離を探す視点を大切にしています。

一つの声かけを磨く

今日できることは、誰かに教える前に、自分がつまずいた練習を一つだけ言葉にしてみることです。

今日の確認は、短くて大丈夫です。「本の選び方で気になった言葉」「ボイストレーナーで引っかかったところ」「次に試す一つ」をメモに残してください。

そのあとで「今週使える時間を書き出す」を一度だけ入れると、頭で考えたことと体の反応を比べやすくなります。長く頑張るより、あとで読み返せる形にするほうが役に立つ日があります。

相手の変化を待つ

人に声を見せてもらう場面では、正解を早く渡すより、相手が自分で気づける問いを一つ置くほうが残ります。

「本の選び方」を人に伝える場面では、知っていることを全部話すより、相手が次に試せる形まで小さくするほうが届きます。

一度で変えようとしない。できた瞬間を見逃さない。違和感があるなら止まる。この三つを持っているだけでも、教える言葉はずいぶん落ち着きます。

先生らしさを急がない

離れた時間があったからこそ、もう一度戻る人のためらいを急かしたくないと思っています。

「ボイストレーナー志望が読む本の選び方」に答えを出す前に、今の自分がどこで反応したかを残しておいてください。読みながら少し安心したところ、逆に不安が強くなったところ、あとで誰かに聞きたいところ。そのメモが次の入口になります。

声の仕事は、勢いだけで決めるより、今の経験をどんな相手に手わたせるかを考えると見えやすくなります。

声や音楽の道は、きれいな直線だけでは進みません。立ち止まった日も、あとから見れば必要な確認だったとわかることがあります。

声診断で見えてくる次の一歩

ここまで読んで、「自分の場合はどこから考えればいいのだろう」と感じたら、LINEの声診断で一度整理してみてください。声診断は、正解を決めつけるためのものではありません。今の声の悩み、興味のある働き方、学びに使える時間を分けて、自分に合う入口を見つけるための確認です。

私が読者に持って帰ってほしいのは、焦りではなく、次に試す一つの行動です。「本の選び方」が気になるなら、その理由を一文で残す。「ボイストレーナー」に不安があるなら、誰に相談できそうかを書いておく。声診断に進む前にそれだけでもメモしておくと、結果を見たときに自分の感覚と照らし合わせやすくなります。

声の仕事も、声の学びも、入口は一つではありません。遠回りに見える時間の中に、その人らしい強みが残っていることがあります。今の自分の声をどう扱いたいのか、どんな人に届けたいのか。そこから静かに考え始めることが、長く続く道につながります。

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よくある質問

最初の1冊は、どんな本がいいですか?
声のしくみを図でやさしく説明した本がおすすめです。声帯や息の流れが分かると、その後の学びが進みやすくなります。まずは読んで分かる1冊を選びましょう。
歌の上達本と、指導の本は、どちらを先に読むべきですか?
教える側を目指すなら、両方を1冊ずつ持つのが理想です。順番に迷うなら、まず声のしくみの本から入ると、土台ができて指導の本も理解しやすくなります。
本を読むだけで、ボイストレーナーになれますか?
本は大切な土台ですが、それだけでは足りません。自分の声や耳を外から見てもらい、実際に教えてみる経験が必要です。学んだことを試す往復で身についていきます。

参考にした一次情報

  • MUSEION 指導者育成プログラムの運営知見

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